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看護婦がそつと上つて来た。
「どうでせう。いつそあの障子も脇戸もとり払つて、曇り硝子に高間医院といふ字を抜きましてね、厚い二枚戸でも入れたら――」
「へえ、どういふわけでせう」
「あの山に田地を注ぎこんで裸になつたのは三人、わしも知つとる」
「私もこれで元は法律書生でしてね。司法官か弁護士試験でも受けるつもりで、神田の私立大学に通つていたもんです」
「わたしやア――」
「ひどい傷だねえ!」
「やあ。先日はどうも」
「かういふ玩具おもちやのやうなものを出して、年甲斐もないことでした」
「あら、お帰んなさい。随分早かつたのね。もう済んだんですか」
「つい今日まで挨拶にも行かずじまひになつてね、どうも済まなかつた」
「そんなことができるもんかねえ」